top of page
執筆者の写真中島 祐哉

第5回本格焼酎&泡盛カクテルコンペティションレポート(2023.2.25)

2月25日、日本酒造組合中央会(JSS)主催の「本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション」がリーガロイヤルホテル東京にて開催された。


日本が世界に誇る国酒、焼酎と泡盛を、バーテンダーたちが最も得意とする「カクテル」という形でその魅力を伝えようとする本大会。日本全国より予選を勝ち抜いた9名の選手たちが本決勝大会に臨んだ。


第5回となる本大会は、3年ぶりのリアル開催が実現。前半のコンペティションと後半のパーティーの2部構成として、会場観覧者100名が集った。

後半のパーティーは、選手自らエントリー作品を一般来場の方々へ振る舞う豪華な形式。入場時に配布される4枚のカクテルチケットを手に、各々が気になった選手のカクテルを試飲することができ、選手と直接コミュニケーションを取りながらカクテルのこだわりを知ることができる。





会場内では本格焼酎・泡盛の試飲ブースもあり、クラシカルで荘厳なコンペティションと対照的にお祭りのような華やかな賑わいを見せた。


 

左から、準優勝の丸山和輝氏、優勝の福田麻人氏、3位の吉澤翔太氏

優勝を勝ち取ったのは、ark BAR GRANDE(名古屋)の福田麻人氏。

作品名:アシビウタ

ベース焼酎:黒糖焼酎 浜千鳥乃詩ゴールド

他材料:パッションフルーツピューレ / ジファール バナーヌ・デュ・ブラジル / ジャパニーズクラフトリキュール奏<抹茶>ほか


技能審査でのプレゼンテーションでは初々しさを感じさせつつも、奄美大島の黒糖焼酎「浜千鳥乃詩ゴールド」と、現地の特産品であるパッションフルーツ、バナナの共演を「アシビウタ(島唄、の意)」と表現する華やかなセンスで観客を魅了した。

アルコール度数40%の黒糖焼酎はラムのように豊かな甘い香りと、焼酎らしいコクの強さを持ち合わせる。ベースの焼酎の旨味を伸びやかに活かしつつ、トロピカルフルーツのように爽やかに仕上げた本作は、焼酎に親しみのない方にも喜ばれ、かつ焼酎の魅力を知る一杯となるだろう。


準優勝は、オーセントホテル小樽の丸山和輝氏。

作品名:萌芽(ほうが)

ベース焼酎:手造りかめ壺仕込み 黒麹 水ノ森

他材料:サントリー梅酒樽仕上げ<山崎樽梅酒ブレンド> / ジャパニーズクラフトリキュール奏<抹茶>ほか


第3位はホテルニューオータニ東京の吉澤翔太氏となった。

作品名:翠雨(すいう)

ベース焼酎:吟醸酒粕焼酎 七田

他材料:サンジェルマン エルダーフラワーリキュール ほか


惜しくも入賞を逃した選手たちも、カクテルブースでは来場者より高く評価されており、本格焼酎や泡盛のカクテルへの可能性を大いに感じる結果となった。


 

一人ひとり、パフォーマンスの模様をお届けしよう。


エントリー#1 川勝隆斗 選手 from:京王プラザホテル(新宿)


トップバッターにして非常に堂々たるパフォーマンスを魅せた川勝氏の作品は、雪の結晶を表現する詩的なタイトルの「六花(リッカ)」。川勝氏の故郷である新潟県の銘酒「八海山 宜有千萬」に林檎酒やジャスミンを加え、フルーティーに味わえる非常に飲みやすい一杯だ。



エントリー#2 田村龍 選手 from:オーセントホテル小樽


「まずは皆様に冬の訪れの景色をご覧いただきます」というメッセージとともに、グラスにパウダースノウに見立てた粉糖をかける演出が印象深かった田村氏。透き通るような味わいの米焼酎「白岳 GINREI SHIRO」をベースに、スパークリング日本酒の淡雪で仕上げた「小米雪」という作品。


エントリー#3 吉澤翔太 選手 from:ホテルニューオータニ東京


3位入賞を果たした吉澤氏の作品は、瑞々しい青林檎のような味わいが特徴の「七田」をベースとした「翠雨」。酒を塩で楽しむという酒呑みの文化に照らして、ソルティードッグのようにグラスの縁に塩を付けカクテルの甘みを楽しんでもらえるよう仕上げた。


エントリー#5 中塚洋希 選手from:ホテルニューオータニ大阪


世界に誇る食文化、和食に着目した中塚氏の作品は、なんと大根を用いた意欲作「雪解け」。寒さに耐え甘みを蓄えた大根をたっぷりとミキサーにかけ、日本酒の酒粕から蒸留・長期熟成させた「藤崎そう兵衛商店 雪解」 に加えたエディブルカクテルのような仕上がり。柚子や紫蘇の爽やかさはまさに和食を思わせる味わいだ。



エントリー#6 丸山和輝 選手 from:オーセントホテル小樽


準優勝に輝いた丸山氏の作品は「萌芽」。本格芋焼酎「水ノ森」が持つ優しい甘みに、ウイスキー樽で熟成させた梅酒、檜のビターズの香りを加え春らしさを作り上げていく。「ステアの所作は茶道を思わせる」という粋な一言を添えながら、抹茶リキュールによる緑茶のようなグリーンのカクテルを注ぐ姿に誰もが目を奪われた。


エントリー#7 山形昇司 選手 from:Salon Bar Thistle


桜の絵を飾るパフォーマンスで観客を驚かせた山形氏がコンセプトとしたのは、人々を笑顔にするような奥ゆかしい日本の女性らしさ。本格芋焼酎「華かろ」をベースに、副材料にも花言葉のこだわりを込めながら薄紅色の作品「華爛漫」を作り上げた。


エントリー#8 軒原創 選手 from:Bar&Dining One(恵比寿)


終始溢れんばかりの笑顔が印象的であった軒原氏の作品は「まんねん雪」。万人に受ける焼酎よりも、一万人に一人でもいいから心から旨いと言ってくれるものを作りたい、という蔵元の思いを胸に、「それを十人、百人と広げていくのが我々バーテンダーの使命だ」と語った。芋の栽培から瓶詰めまで全ての工程を蔵元で行うこだわりの芋焼酎「雪のまんねん」をベースに、柿リキュールや生クリームでデザートカクテルのような味わいに仕上げた。


エントリー#9 佐藤駿 選手 from:ザ・プリンスパークタワー東京


佐藤氏の作品「薫風〜いやしのひととき〜」は、芋焼酎「ISAINA」をベースにチェリープラムや抹茶のリキュールでキリッとした表情に仕上げたカクテル。癒しといえば故郷ということで、彼の生まれ故郷である北海道のグラスに注ぎ見た目も華やかに演出した。


エントリー#10 福田麻人 選手 from:ark BAR GRANDE(名古屋)


トリにして見事優勝を勝ち取った福田氏の作品は「アシビウタ」。カクテルの原料を丁寧に説明しながら、シェイクの前には「受け継いできた伝統の味を守りながら、飽くなき挑戦を続ける蔵元の職人への敬意を、一杯につき無限に込めまして!」と情熱的なプレゼンテーションを見せた。奄美の美しいエメラルドグリーンの海をイメージした、本格焼酎カクテルの顔となるに相応しい見事な一杯だ。



 

主催:日本酒造組合中央会(JSS)

協力:一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会(HBA)


取材協力:

児島麻理子 氏(Instagramアカウント





Kommentare


bottom of page